映画考察・ゴジラ-1.0「敷島の戦争はどのように終わるか?」中編

ZIックリガイド】PR含

〜映画の合間に楽しむ少しの話のタネ〜

ゴジラマイナスワン考察・敷島の戦争と島

映画考察・ゴジラ-1.0

「敷島の戦争はどのように終わるか?」中編

【>>「前編」】

敷島に追い討ちをかけるゴジラの破壊。

彼は、“自分の戦争” とどう向き合っていくのか。

この記事はネタバレ考察となる。

映画『ゴジラ-1.0』は、レビューサイト「ロッテントマト(Rotten Tomatoes)」において、批評家と観客の両方から非常に高い評価を受けている。批評家満足度99% 一般満足度98% ー「ロッテントマト ゴジラ-1.0レビュー

mieru-TV

映画「ゴジラ-1.0」考察

広がる敷島の戦争

前回考察したように、

彼が終わらせるべき “俺の戦争” とは、戦争自体でもゴジラ自体でもなく、

“逃げた自分” との戦いだった、

と考えた。

敷島が典子に打ち明けた、「俺は…特攻から逃げた人間です。」

という言葉からもその苦闘を読み取れる。

しかし彼は、その逃げの姿勢ゆえに更に、

“自分の戦争” に、新たな苦悩を塗り加えていってしまう。

大戸島での苦悩

まずは、大戸島での苦悩である。

呉爾羅の脅威に面した際、彼は、生きて帰る決意をそのままに、

もっと目の前の仲間のためにも、

勇敢な姿勢で対処できればよかった。

ここでも “逃げの姿勢” を出してしまい、多くの犠牲者を出してしまった。

もっとも、

実際には呉爾羅から逃げなければならない状況だった。

だから、ある意味で彼は賢かった。

特攻の際も、大戸島の際も、

彼は、勝てる見込みのない状況を直ぐに見抜くことができていた。

そしてあえて無謀な行動、

いわば “死んでこいなんて命令を律儀に守る” ことはしなかったのである。

しかし敷島はここでも、

“状況から逃げない” で、

20ミリ機銃を撃つよう勧める橘を勇敢に説得したり、

整備兵を落ち着かせて身の安全を確保させたり、等に、

もっと尽力できたかもしれない。

一方、悪いのは橘である。

敷島が、『攻撃しても手負いにさせるだけで、かえって状況を悪くさせるかもしれない』

と判断したなら、静かに別の策を考えることもできたはずである。

そもそも、基地を壊滅した呉爾羅を刺激したのは整備兵であり、

敷島を責めるのは完全なお門違いである。

いずれにしても敷島は、

橘から亡くなった整備兵の写真を押し付けられても弁解できず、

“整備兵たちの無念” という一方的な苦悩も背負うことになる。

\ 身体をしずめてゆっくり休む /

積み重なる苦悩

その後も、

彼の、“勇敢に立ち向かえない姿勢” は、

また、“呉爾羅を始末できなかった” 一方的な責めによる苦悩は、

“敷島の戦争” の一部となり、

さらに多くの苦悩をもたらした。

日本に戻った際の、

理不尽な澄子の逆恨み。

始末できなかったゴジラによって、

海進丸と高雄の乗組員の死亡や、

銀座では典子の死を許してしまった。

敷島の膨れ上がる苦悩と、

終わらせるべき “戦争” は、

一体どのように “けじめ” がつき、終止符が打たれるのだろうか?

どのように戦争は終わるか?

ところで、敷島が生前の典子に、

“自分の抱える戦争” の状況について伝えた際、

典子は彼を熱く包み込み、

「それは夢!…浩さんが作った幻だよ!」そう述べて

“抱える苦悩” を忘れて(否定して)生きるよう強く励ました。

その甲斐もあって、

敷島は一度、そうやって「もう終わりに」しようとした。

でもそれは上手くいかなかった。

ゴジラが生きている以上、

終わりにできない戦争に、引き戻されてしまったのである。

前を向いて生きるよう強く励ましてくれた典子の死、

という一番辛い現実も伴って。

しかし典子の死を境に転機は訪れた。

敷島にようやく “一切のケジメをつける” 機会が訪れたのである。

これまでの経緯から、敷島が戦争を終わらせるためには…

① 自分の逃げの姿勢を無くすこと

② 死んだ仲間の無念を晴らすこと

③ ゴジラを駆除すること

…が関係するようになっていたのだが、

ゴジラを駆除する作戦が進む中で彼には、

“戦争を終わらせる” 妙案が浮かび、

ようやく “攻めの姿勢” に転じることができたのである。

次回へ続くー

最終回は怒涛の伏線回収となる。

ゴジラマイナスワン考察・敷島の戦争と島

\ 初月無料!ゴジラ-1.0が観れる /

映画「ゴジラ-1.0」PR

興行成績

「ゴジラ-1.0」

動員 503万人/興収 76.5億円(+米国 約87億円)

(参考比較)

「初代ゴジラ」

動員 961万人/興収 1.5億円

「シン・ゴジラ」

動員 569万人/興収 82.5億円(+米国 約2.7億円)

受賞歴

(2025/4/1 現在)

第48回報知映画賞 監督賞

第36回シカゴ映画批評家協会賞 視覚効果賞

第27回ラスベガス映画批評家協会賞 外国語映画賞

第27回ラスベガス映画批評家協会賞 ホラー/SF映画賞

第28回サンディエゴ映画批評家協会賞 視覚効果賞

第28回フロリダ映画批評家協会賞 視覚効果賞

ノースカロライナ映画批評家協会賞 視覚効果賞

第13回ジョージア映画批評家協会賞 国際映画賞

第22回ユタ映画批評家協会賞 視覚効果賞

2023シアトル映画批評家協会賞 国際映画賞

2023シアトル映画批評家協会賞 視凳効果賞

2023シアトル映画批評家協会賞 悪役賞

第19回オースティン映画批評家協会賞 国際映画賞

デンバー映画批評家協会賞 SF/ホラー映画賞

デンバー映画批評家協会賞 非英語作品賞

ハワイ映画批評家協会賞 SF映画賞

ポートランド批評家協会賞 SF映画賞

カンザスシティ映画批評家協会賞 SF/ファンタジー/ホラー映画賞

第66回ブルーリボン賞 作品賞

第66回ブルーリボン賞 主演男優賞

第66回ブルーリボン賞 助演女優賞

第78回毎日映画コンクール 美術賞

国際映画音楽批評家協会賞 ファンタジー/SF映画部門作曲賞

第96回アカデミー賞 視覚効果賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀作品賞

第47回日本アカデミー賞  優秀監督賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞

第47回日本アカデミー賞  優秀主演男優賞

第47回日本アカデミー賞  優秀主演女優賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀撮影賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀照明賞

第47回日本アカデミー賞  優秀音楽賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀美術賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀録音賞

第47回日本アカデミー賞 最優秀編集賞

第17回アジア・フィルム・アワード 視覚効果賞

第17回アジア・フィルム・アワード 音響賞

第4回 クリティクス・チョイス・スーパー・アワード SF/ファンタジー映画賞

第4回 クリティクス・チョイス・スーパー・アワード 悪役賞

ブラム・ストーカー賞 脚本賞

星雲賞 メディア部門受賞

ファンゴリア・チェーンソー・アワード 最優秀ワイド公開作品賞

ファンゴリア・チェーンソー・アワード 最優秀音楽賞

ドルビーシネマ・ジャパンアワード 2024 特別賞

第7回映画のまち調布賞 録音賞

第7回映画のまち調布賞 編集賞

第7回映画のまち調布賞 特別賞

第52回サターン賞 国際映画賞

第30回 AMD Award ’24 大賞/総務大臣賞

>>「気軽に観れる名作:旅のしおり」別の記事>>「便利な映画視聴サービス

mieru-TV
タイトルとURLをコピーしました