ホーロー看板
〜記憶が染み込むノスタルジックな役者たち〜
(カクイわた)
これは、レトロブームの立役者ホーロー看板を愛でる記事である。
田舎の景色と、母の温もり、それは子供時代を懐古する人にとって忘れられないものかもしれません。母親に抱かれて育った経験は誰にでもあるものです。そんな懐かしさを思い出すのがこの看板。

ホーロー看板・カクイわた(カクイわた株式会社)。写真は本物のホーロー看板の画像を元に、デジタル補整を行い、綺麗に復元した看板画像である。本物の看板で細部まで状態の良いものは、今ではなかなか見かけることができない。ホーロー看板は、経年劣化の問題だけでなく、看板荒らしに剥ぎ取られ、町の中から姿を消していく深刻な問題にも直面してきた。もし飾って懐かしさを楽しみたい場合は、個人的に画像をポスターにしたりして楽しもう。古い家屋や町中に残る看板をもし見かけたら、ぜひその看板は景色込みで大切にしてあげよう。(看板情報 Wikipedia 他)
概要
看板名称:カクイわた
メーカー:カクイわた株式会社
製作使用:1955(昭和30)年〜20年程
宣伝商品:自社のブランドと綿製品
出演役者:イラストの母と子
骨董価値:20,000〜25,000(市場相場)
歴史
鹿児島県に本社を置く、綿製品を製造しているカクイわた株式会社が、自社のブランドを宣伝する目的で、主に1955年(昭和30年)から1975年(昭和40年)頃にかけて製造し、その後10年間ほど使用していた看板。
特徴
看板の中央に、カクイのロゴ入りの赤い羽織を羽織った母親が、手に風車を持つ赤ん坊を背負ったイラストが描かれている。右側には、縦に引かれた青いラインの上に、縦書き白字で「カクイわた」の文字が記されている。イラスト全体の背景には鮮やかな黄色が使用され、視認性の高いこのデザインは、道行く人の目を容易に引いた。尚、他にも異なるデザインが存在し、例えば、背景色が赤や青のもの、文字の配置が異なるものなど、多様なバリエーションが存在する。
看板標準サイズは、高さ90cm×幅90cm×厚さ1mmである。
追記
この看板は視認性の高さから、壁面、道路沿いなどに多く設置され、広告媒体として広く活躍した。形状やサイズにもいくつかのバリエーションが存在し、最も一般的な形状は、縦型の長方形で寸法は約90cm×30cm、小型タイプでは約45cm×15cmである。中には、畳2枚分にも及ぶ大型の看板の存在も確認されている。綿製品ブランドのカクイ株式会社は、1881年(明治14年)に山形屋綿店として創業して以来、→1948年(昭和23年)に山形屋産業合名会社→1965年(昭和40年)にカクイわた株式会社→1971年(昭和46年)にカクイ株式会社、と社名を変更してきた。

雑学
同様の綿製品を製造するメーカーとして、「おたふくわた」や「だるまわた」「ほていわた」など、多数のブランドが存在する。それらも、一度見たら忘れられない個性豊かなデザインで、各地で広く使用されていた。「カクイわた」の看板は、主に九州地方を中心に掲示されたが、他地域にも展開していた。そのため、特に「おたふくわた」との間では、看板の掲示場所を巡る競い合いが生じていた。看板に色違いのバリエーションが存在するのも、先に貼られた看板の色に対抗して異なる色を貼る、といった戦略が取られていたことが関係していると考えられる。
ちなみにカクイ株式会社は、1898年(明治31年)に日本で初めて洋式機械による製綿を開始し、創業当初からガーゼや脱脂綿などの衛生材料を製造してきたが、現在では化粧パフや油吸着材なども手掛けている。1967年(昭和42年)には連続精練漂白装置の開発に成功し、独自の製造方法で、綿に含まれる油分を適度に残すことで実現する、柔らかさが特徴のコットンパフを製造している。

感想
ねんねこ看板とも呼ばれるこの看板のデザインは、本当に親しみやすさと温かみを感じましたね。「カクイわた」という言葉の響きも、子供脳には、妙に印象深く残りました。この看板も、昭和の暮らしを後世に語り継ぐ貴重な資料ですね。
AIが発達した今だからこそ
AIでは生成できない、修復もできない
味のあるホーロー看板を眺めていたい。
あなたのお気に入りの場所
思い出の場所には
ホーロー看板は残っていますか?
あなたの歴史が染み込んだ
わたしたちを子供の頃から
見守ってくれた
静かな役者にありがとうを。
ー
記憶が染み込むノスタルジックな役者たち〜